読者のための付録
タットの手帳
各章の終わりにタットが書き留めたことを、一か所にまとめました。日本語版の章が増えるたびに、このページも少しずつ厚くなっていきます。
書き留めたこと 3項目
第1章痛みの在りか
手帳は、もう引き出しの中にはなかった。月末、タットはそれまで書いたページを読み返し、覚えておきたい三つのことを新しいページに書き写した。
- 痛みを感じるうちは、道が見える。 エージェントは誤りを直せるが、誰かが三度目の報告をしなければならないことに居心地の悪さは感じない。その感覚こそ、誰にも代われない仕事の一部だ。すべてが「順調」な日には、自分が見ることをやめていないか、問い直してみること。
- 困難は問題を出してくれるが、解いてはくれない。 いつもの道が塞がれたら、足りないものを嘆く前に、あるものを書き出すこと。答えは時に、もとからあるボタンを、誰も思いつかなかったやり方で使うことだったりする。
- 創意工夫とは仕立て直しであって、発明ではない。 よそのうまいやり方を借りてきて、自分に合うように直し、節約できた時間と労力で測ること。
その下に、彼はひとまわり小さな字で書き添えた。あのニットの店の人は、四度目の連絡をせずに済んだ。彼女はひとりだ。けれど、その背後にいるのはエージェントだけではない。